あいさつ

鍼灸は、病院などの医療機関でも行うことができ、 素晴らしい可能性を秘めています。 しかし他の医療系国家資格と比較して世間の認知度は低く、 年間受療率は５〜６％ほどになります。 結果として鍼灸師の社会的地位が上がらない現状があります。

病院では、患者が受診した際に、医師一人で、 すべてを行うことはありません。 医療現場はチームプレーになります。 一方、多くの鍼灸師はマンツーマンで鍼灸治療を行います。 もちろん一人の患者をしっかり治療できる知識や技術は 必要な事であり、それが前提にあっての話となります。 ここでは、我々がチームで行う鍼灸臨床の利点についてお話します。

チームで行う鍼灸臨床は、一人の患者の病態や症状を 多角的に診ることができます。 これは偏って見落としがちな患者の情報を拾いやすくなり、 様々な角度から治療方針をたてることを可能にします。 情報共有が前提としてあるため、症例検討などの カンファレンスを行うことができ、 医療として鍼灸を提供することが可能になります。 また、多くの患者を診る機会があるということは、 それだけ多くの臨床経験を積むことにもなり、 短期間で臨床能力を大きく上昇させることができると考えます。

ただし、チームで鍼灸臨床を行うためには、 求められることがあります。 それは外来全体の流れを読み、考え、行動する能力です。 当機関の研修制度では、これらノウハウも、 しっかり学ぶことができます。 これは他では学ぶことができない当機関の強みです。

千葉大学大学院医学研究院 和漢診療学　医学博士 森田智

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